バリトンサックスのマウスピース、何を基準に選ぶべきか

バリトンサックスのマウスピース選びは、アルトやテナー以上に悩みます。

理由は単純で、情報が圧倒的に少ないからです。楽器店に行っても在庫が少なく、試奏できる機会も限られています。ネット上の日本語レビューもごくわずか。

この記事では、15年のバリトンサックス演奏経験の中で、実際に使ってきたマウスピースからジャズ向けに5つを厳選して紹介します。

選定の基準

今回のおすすめは、以下の基準で選んでいます:

  • ジャズ(コンボ・ビッグバンド)での使用を前提
  • 筆者が実際に演奏で使用した経験がある
  • 入手性が比較的良い(日本の楽器店やオンラインで購入可能)
  • 価格と性能のバランス

おすすめ5選

1. Vandoren V16 B7(初心者〜中級者向け)

一言:迷ったらまずこれ。

バリトンサックスのジャズマウスピースで最も入手しやすく、品質が安定しているのがVandoren V16シリーズです。

  • ティップオープニング: 程よい開き(B7で約2.35mm)
  • 音色: ウォームで丸みのある音。ビッグバンドのセクションに溶け込みやすい
  • リードとの相性: Vandoren JAVAの2.5〜3がベストマッチ
  • 価格帯: 約15,000〜18,000円

筆者がバリトンを始めて最初に手にしたマウスピースです。クセが少なく、基本的な奏法を身につけるのに最適。上級者でもビッグバンド用のサブとして持っておいて損はありません。

2. Meyer 7M(中級者向け)

一言:ジャズの伝統的なサウンドを求めるなら。

ジャズサックスのマウスピースとして伝説的なMeyerブランド。バリトン用も健在です。

  • ティップオープニング: やや広め
  • 音色: 明るく、輪郭のはっきりした音。ソロで前に出る力がある
  • リードとの相性: Rico Jazz Select 2Mとの組み合わせが個人的なベスト
  • 価格帯: 約12,000〜15,000円

V16がビッグバンド向きだとすれば、Meyerはコンボ向き。少人数のジャムセッションで使うと、音の存在感が違います。

3. Otto Link Tone Edge 7(中級〜上級者向け)

一言:バリトンの「鳴り」を最大限引き出す名器。

ジャズサックスのマウスピースで「Otto Link」を知らない人はいないでしょう。バリトン用のTone Edgeは、太くて深い音が特徴です。

  • ティップオープニング: 7番で標準的
  • 音色: ダーク&リッチ。低音域の鳴りが圧倒的
  • リードとの相性: LaVoz Medium-Hardとの組み合わせが王道
  • 価格帯: 約20,000〜25,000円

ペッパー・アダムスが使っていたことでも有名。音の太さと低音域のレスポンスは、他のマウスピースとは一線を画します。ただし、個体差がやや大きいのが注意点。

4. Jody Jazz DV 7(上級者向け)

一言:モダンジャズの音を求めるなら最有力候補。

比較的新しいブランドながら、プロの間で急速に支持を広げているJody Jazz。DV(Deep V)チャンバーがバリトンの低音を豊かに鳴らします。

  • ティップオープニング: 7番でちょうど良い開き
  • 音色: パワフルかつクリア。現代的なジャズサウンド
  • リードとの相性: D'Addario Select Jazz 2Mがおすすめ
  • 価格帯: 約35,000〜40,000円

現在、筆者がメインで使用しているマウスピースです。吹き込むほどに鳴りが良くなり、表現の幅が広い。価格は高いですが、それだけの価値があります。

5. Yanagisawa Metal 7(ファンク・フュージョン向け)

一言:パワーとエッジが欲しい人へ。

メタル製のマウスピースは好みが分かれますが、バリトンのメタルは独特の存在感があります。

  • ティップオープニング: 7番
  • 音色: ブライトでエッジの効いた音。ファンク・フュージョン系に最適
  • リードとの相性: 硬めのリード(Rico 3〜3.5)が合う
  • 価格帯: 約30,000〜35,000円

ジャズ寄りというよりファンク・フュージョン寄りですが、ビッグバンドのリードバリトンでパワーが欲しいときにも使えます。

結局、最初に買うべきはどれか?

迷ったら、Vandoren V16 B7を買ってください。

理由はシンプルです:

  1. 入手しやすい — ほぼすべての楽器店で在庫がある
  2. クセが少ない — どんなジャンルでもそれなりに対応できる
  3. リードを選ばない — 同じVandorenのJAVAを合わせれば間違いない
  4. ステップアップの基準になる — これを基準に「もっと暗い音が欲しい→Otto Link」「もっと明るい音が欲しい→Meyer」と方向性が見える

ある程度の方向性が定まったら、Otto LinkかJody Jazzに移行するのがおすすめです。

マウスピースと一緒に揃えたいもの

  • リガチャー: マウスピースと同じくらい音に影響します。まずは付属品で、慣れたらRovnerやBGを試しましょう
  • マウスピースパッチ: 歯の当たりが柔らかくなり、マウスピースの寿命も延びます。BG 0.8mmがおすすめ
  • マウスピースポーチ: 持ち運び時の保護に必須。特にメタル製は傷がつきやすい

まとめ

バリトンサックスのマウスピース選びは、情報の少なさから難しく感じるかもしれませんが、この記事で紹介した5つから選べば大きな失敗はありません。

レベルおすすめ特徴
初心者Vandoren V16 B7万能・安定・入手しやすい
中級者Meyer 7M / Otto Link 7コンボ向き / ダーク系
上級者Jody Jazz DV 7モダン・表現力◎
ファンク系Yanagisawa Metal 7パワー・エッジ

自分の「理想の音」に近いマウスピースを見つけて、バリトンサックスの演奏をさらに楽しんでください。

リード選びで迷ったら「バリトンサックスのリードの選び方完全ガイド」も合わせてどうぞ。