リード選びがバリトンサックスの音を決める
バリトンサックスの音を左右する要素の中で、最も手軽に変えられるのがリードです。
マウスピースは買い替えに数万円かかりますが、リードは1箱数千円で試せます。そして、リードを変えるだけで音色が劇的に変わることも珍しくありません。
この記事では、バリトンサックスのリード選びについて、ブランド別の特徴からマウスピースとの相性まで、実体験をベースに解説します。
まず理解すべき:リードの「硬さ」の基本
硬さの番号はブランド間で統一されていない
これは初心者がよくハマる落とし穴です。Vandorenの「3」とRicoの「3」は同じ硬さではありません。
おおまかな対応表:
| 硬さの感覚 | Vandoren Traditional | D'Addario Select Jazz | Rico Royal |
|---|---|---|---|
| やわらかめ | 2 | 2S | 2 |
| 標準 | 2.5 | 2M | 2.5 |
| やや硬め | 3 | 3S | 3 |
| 硬め | 3.5 | 3M | 3.5 |
バリトンは「やや柔らかめ」が正解
バリトンサックスは管が長い分、息の抵抗が大きくなります。そのため、アルトやテナーで3番を使っている人でも、バリトンでは2.5番からスタートするのがおすすめです。
硬すぎるリードを使うと:
- 低音域が鳴らない
- すぐに口が疲れる
- 音が詰まって響かない
ブランド別レビュー
Vandoren Traditional(定番中の定番)
こんな人に: 迷ったらまずこれ。あらゆるジャンルに対応。
- 音色: バランスが良く、クセがない
- 耐久性: 普通(1枚で2〜3週間程度)
- おすすめの硬さ: 2.5〜3
- 相性の良いマウスピース: 何にでも合う。特にVandoren V16との組み合わせは鉄板
長所はオールマイティさ。短所は「個性がない」とも言えること。まずはこれで基準を作り、そこから他のリードを試すのが効率的です。
Vandoren JAVA(ジャズ向け)
こんな人に: ジャズでパワフルに吹きたい人。
- 音色: Traditionalより明るく、倍音が豊か
- 耐久性: やや短め(振動が大きい分、ヘタりやすい)
- おすすめの硬さ: 2.5
- 相性の良いマウスピース: Vandoren V16、Meyer
ジャズ向けリードの定番。Traditionalより鳴りが良く、ダイナミクスの幅が広がります。ただし、クラシック寄りの演奏には合いません。
D'Addario Select Jazz(Filed / Unfiled)
こんな人に: 品質の安定性を重視する人。
- 音色: Filed(カット有)はクリアでブライト、Unfiled(カット無)はダークでウォーム
- 耐久性: 良好(品質管理が優秀)
- おすすめの硬さ: 2M(Filedの場合)
- 相性の良いマウスピース: Jody Jazz、Otto Link
D'Addarioの最大の強みは品質のバラつきが少ないこと。Vandorenは箱の中に1〜2枚ハズレがあることがありますが、D'Addarioはほぼすべて使えるレベルです。
筆者のメインリードです。Jody Jazz DV 7との組み合わせで、現在の自分のベストセッティングに到達しました。
Rico(La Voz)
こんな人に: コスパ重視。練習用に大量消費したい人。
- 音色: 素朴でストレート
- 耐久性: やや短め
- おすすめの硬さ: Medium
- 相性の良いマウスピース: Otto Link
La Vozはジャズサックス奏者に根強い人気があるリードです。値段が手頃で、練習用として惜しみなく使えるのがメリット。Otto Linkとの相性が良く、伝統的なジャズサウンドを目指すなら試す価値ありです。
Légère(樹脂リード)
こんな人に: リード管理が面倒な人。野外演奏が多い人。
- 音色: 葦リードに近づいているが、やはり若干硬質
- 耐久性: 数ヶ月〜半年持つ
- おすすめの硬さ: Signature 2.5
- 相性の良いマウスピース: 全般
樹脂(プラスチック)製リードの最大手。メリットは圧倒的な耐久性と、湿度の影響を受けないこと。デメリットは、微妙なニュアンスの表現がやや苦手なこと。
メインリードとしてはまだ葦に軍配が上がりますが、サブとして1枚持っておくと安心です。
マウスピースとリードの組み合わせガイド
結局のところ、リードはマウスピースとセットで考える必要があります。
| マウスピース | おすすめリード | 硬さ |
|---|---|---|
| Vandoren V16 B7 | Vandoren JAVA | 2.5 |
| Meyer 7M | Rico Jazz Select | 2M |
| Otto Link Tone Edge 7 | La Voz | Medium-Hard |
| Jody Jazz DV 7 | D'Addario Select Jazz Filed | 2M |
| Yanagisawa Metal 7 | Rico Royal | 3 |
リードを長持ちさせるコツ
- ローテーションする: 同時に3〜4枚を交互に使うことで、1枚あたりの寿命が延びます
- リードケースに保管: 吹き終わったらマウスピースに付けっぱなしにせず、リードケースへ
- 使い始めは短時間から: 新しいリードはいきなり長時間使わず、初日は15分程度に留める
- 波打ったら交換: リードの先端が波打ってきたら寿命です。無理に使い続けると悪い癖がつきます
まとめ
| 目的 | おすすめリード |
|---|---|
| まず試す | Vandoren Traditional 2.5 |
| ジャズ用 | Vandoren JAVA 2.5 / D'Addario Select Jazz 2M |
| コスパ重視 | La Voz Medium |
| 管理の手軽さ | Légère Signature 2.5 |
リードはサックスの「消耗品」ですが、音に最も直接的に影響するパーツでもあります。ぜひいろいろ試して、自分のベストを見つけてください。
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